表面利回りだけで買うと危険?管理会社が見る“本当の利回り”の考え方

春の引っ越し・賃貸の最繁忙期を目前に控えたこの時期、新たに不動産投資を検討されている方も多いのではないでしょうか。
不動産投資の相談を受けていると、「利回り10%だから良さそう」という声をよく耳にします。
しかし、管理会社の視点でお伝えすると、利回りの数字だけで判断するのは危険です。
数字の裏側には、運用していく中で必ず発生する「見えないコスト」がひそんでいます。
今回は、日々物件を運営する管理会社の立場から、本当の利回りの考え方を解説します。
長期で安定して資産を育てたい方にこそ、知っていただきたい内容です。
表面利回りと実質利回りの違い
はじめに整理しておきたいのが、この2つの違いです。
表面利回り(グロス利回り)
年間の家賃収入 ÷ 物件購入価格×100
→ 一番よく見かける数字ですが、これは諸経費を考慮していない「理想の数字」でもあります。
実質利回り(ネット利回り)
(年間の家賃収入− 年間諸経費)÷( 物件購入価格+購入時の諸費用)×100
→ 諸経費も含めた計算方法で、実際に手元に残る利回りの感覚に近い数字です。
投資用物件を比較検討する際は、表面利回りよりも「実質利回り」を確認することが大切です。
ここを誤ると、買ってから「こんなはずじゃなかった…」となることも。

実質利回りを左右する4つの隠れコスト
不動産投資の現場では、次の4つがとくに大きな影響を与えます。
①修繕費・メンテナンス費用(突発・計画)
経年劣化による設備交換(給湯器やエアコンなど)や、外壁・屋根・共用部のメンテナンス費用です。
築古物件ほど、ここが利回りを大きく圧迫します。
②空室期間のロス(稼働率の低下)
たとえば家賃5万円の部屋が1ヶ月空室になるだけで、年間利回りは下がります。
地域特性や賃貸需要、そして管理会社の募集力に左右されます。
③入退去に伴うコスト
退去時の原状回復費用やクリーニング代、次の入居者を決めるための仲介手数料や広告料などです。
入れ替わりが激しい物件は、このコストがかさみます。
④固定ランニングコスト
管理手数料、固定資産税、火災保険料など。
これらは空室であっても毎月・毎年必ずかかるため、年間で見ると想像以上に大きな出費となります。
管理会社が見る「利回りを下げる落とし穴」
「実質利回り」を重視するとお話しましたが、利回りだけでは見えにくい“実務の世界”があります。
ここではよくある落とし穴を3つご紹介します。
よくある落とし穴
1.入居者トラブルが多いエリア
退去が増え、原状回復費がかさむうえに稼働率も下がります。
2.設備トラブルが起きやすい築年数
購入直後に、数十万円の設備交換が立て続けに発生するケースもあります。
3.家賃設定が市場とズレている
適正価格でないと空室が長引き、最終的に賃料改定が必要になり、結果として表面利回り自体も下がってしまいます。
管理会社は実際に運営しているからこそ、「この物件は空室が埋まりやすい」「この設備は近い内に交換が必要」など、利回りを左右する要素を肌で感じています。
表面の数字に表れない部分こそ、長期安定の鍵なのです。
利回りが安定しやすい物件の特徴
これまでの管理経験から、安定した運用につながりやすい物件には共通点があります。
①家賃相場に対して適正価格である
無理に高めの家賃に設定しないことで、空室がすぐ埋まり、高い稼働率を維持しやすくなります。
②入退去が少ない間取りや立地
ファミリー層が多い地域や、利便性の高い立地など、長期入居が見込める物件。
③必要な修繕・アップデートを怠らない
エアコン、給湯器、水回りなど、時代に合わせた小さな改善が、長期的な家賃下落を防ぎ、利回りを守ります。
④管理会社との連携がスムーズ
日常的な相談がしやすい管理会社をパートナーに選ぶことで、運用のブレを最小限に抑えることができます。
数字の裏側を知ることが投資の第一歩

表面利回りの高さだけで物件を判断すると、思わぬコストで実質利回りが大きく低下することがあります。
利回りは「買って終わり」ではなく、「運用して初めて完成するもの」です。
管理会社として日々運営している経験から言えるのは、数字の裏側にあるリスクとコストを把握することこそが、成功する投資の基礎だということです。
長期的に資産価値を育てたい方は、ぜひ管理会社の視点も参考にしながら物件を見極めてみてくださいね。

